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ARTIST TRANSFER in Hiroshima

2022年12月17日(土)-2023年2月6日(月)

アートに海峡は、ない。

さまざまな境界を越えて、異なる生態系の「ARTIST(アーティスト)」が「TRANSFER(移動)」することで、何が生まれるのか?生態系の交流、往来は可能なのか?

「ARTIST TRANSFER」は、地方都市で活動するアーティストが県境をまたいで展示・交流していくことでアートシーンの拡張が生まれることを期待し、今年10月小倉井筒屋(福岡県北九州市)での展示からスタートしました。本展は継続企画として会場を広島へ移し、広島を拠点とするアーティストと主に福岡を拠点とする九州ゆかりのアーティストを招聘・紹介します。近年地方都市におけるアートシーンも注目されつつあり、アーティストのオルタナティブな活動が独自の地域性をつくりあげているとも言えるでしょう。しかし都市間の物理的・心理的境界による隔たりも存在し続け、コロナ禍の移動制限も続いてきたなか、「ARTIST TRANSFER」が様々な海峡を越え、風穴を開けていくことを目指します。

プレビュー

2022年12月16日(金)17:00〜21:00頃まで ※要予約
参加費:500円(軽食費)+ 観覧チケット
参加アーティスト等との交流会。作品もご鑑賞いただけます。

※下記お問合せ先又は予約フォームから前日までにご予約ください。
※開始時刻に集合いただく必要はありません。会場の出入りは自由です。
※歓談の際にはマスク着用など感染対策にご協力をお願いいたします。
※会期中はトークイベントも予定。詳細は随時HP又はSNSでご案内します。

アーティスト

生島国宜、諫山元貴、入江早耶、上村卓大、木浦奈津子、久保寛子、興梠優護、後藤靖香、小西紀行、小宮万依、柴田七美、田中千智、津川奈菜、坪山斉、手嶋勇気、七搦綾乃、平野薫、ロバート・プラット、丸橋光生、宮本華子、米倉大五郎

生島 国宜《不死身と思われていたゾンビを油で煮たらキレイに消え去ってしまいロケットで宇宙に打ち上げる必要はなさそうだった》2022年、油彩・キャンバス
諫山 元貴「Dummy」EUREKAでの展示風景(©︎2020 EUREKA)
入江 早耶《⾚⾯⾦剛困籠奈ダスト》2021年、薬箱・薬袋・消しゴムのカス・樹脂
上村 卓大《something #2》2009年、ウレタンフォーム・合板・ポリエステル樹脂・ファイバーグラス・ウレタン塗装
木浦 奈津子「表面をなぞる」EUREKAでの展示風景(©︎2022 EUREKA)
久保 寛子《やさしい手》2018年、鉄・ブルーシート
興梠 優護《l 119》2022年、油彩・キャンバス
後藤 靖香《真珠星−はじまり》2020年、雲母・キャンバス
小西 紀行《Untitled (Wakabayashi no.4) 》2022年、油彩・キャンバス
小宮 万依《LIQUID-9》2022年、PVCフィルムにアクリル、個人蔵(撮影:GALLERY SOAP)
柴田 七美《暴動》2022年、油彩・キャンバス(所蔵:みぞえ画廊)
田中千智《ブルーの長靴》2018年、油彩・アクリル・キャンバス
津川 奈菜《よなよな〈2〉》2022年、鉛筆・パステル・アクリル絵具・紙
坪山 斉《Universe #5》2022年、アクリル絵具・キャンバス
手嶋 勇気《I've Got Peace Like a River(AID#32)》2022年、油彩・キャンバス(©︎2022 EUREKA)
七搦 綾乃《Rainbows edge VII 》2017、樟
平野 薫《memento mori -grandmother-》2020年、下着・アクセサリー
ロバート・プラット《Defiant Floral (monochrome)》2022年、アクリル、キャンバス
丸橋 光生《I see 文字》2021年、インスタレーション(撮影:Kenichi Hanada)
宮本 華子《出られないから、乗ってみる。ー小豆島、つなぎ、松原ー》2021年、映像
米倉 大五郎《moonraker》2020年、アクリル絵具・2液性塗料・綿布・木製パネル
※掲載作品は参考画像であり実際の出品と異なる作品もあります

生島 国宜 / Kuniyosi Ixima

1980年大分県生まれ、2003年に武蔵野美術大学油絵学科卒業。福岡を拠点に活動。ポートレイトや植物といった具象絵画を主軸として、物事の存在の本質を探るべく制作を行っている。また、キュレーターとして展覧会・イベント等の企画を行う。2022年福岡にて会員制Arts Club、ギャラリー等を備えたスペース「Overground」を立ち上げ、運営会社のOverground LLC.代表。

諫山 元貴 / Genki Isayama

1987年大分県生まれ、広島県在住。2011年に広島市立大学大学院芸術学研究科現代表現領域修了。崩壊や複製をキーワードに制御できない出来事によって物質が変化していく様子や瞬間を、映像や立体で表現している。2020年に手嶋勇気との共同アトリエ「スタジオピンクハウス」にビューイングルームを構え展示等の企画も行う。

入江 早耶 / Saya Irie

1983年岡山県生まれ、広島県在住。2009年に広島市立大学大学院芸術学研究科博士前期課程を修了。掛け軸など二次元の情報を消しゴムで消し、その消しカスを用いて立体を作り上げる。イメージとして流通し、日常的な存在となっている図像を消し去り、現実の空間に塑像として導き出す入江の作品は、表象との関わりを巡る現代的な問題をユーモラスに提起している。

上村 卓大 / Takahiro Kamimura

1980年高知県生まれ、福岡県在住。2008年に武蔵野美術大学大学院博士(後期)課程満期退学。彫刻家。既製品をそのまま模したように見える上村の立体作品は、一見すると凡庸であるが、彼はそれを彫刻というものの持ち方にこだわっている所為だと言う。逸脱するための方法が、翻って逸脱しないことへと向かってしまう彼の手つきは、「物」として見過ごされることとの際で微細な違和を醸している。

木浦 奈津子 / Natsuko Kiura

1985年鹿児島県生まれ、在住。2010年に尾道市立大学大学院美術研究科油画専攻修了。日常の中で目にする何気ない風景を見たままに、できるだけ自分の感情を省いて描く。その時受けた印象と景色の表面的な画を軸に絵画構成を試みている。

久保 寛子 / Hiroko Kubo

1987年広島県生まれ、在住。広島市立大学芸術学部彫刻専攻を卒業後、テキサスクリスチャン大学美術修士課程修了。先史芸術や民族芸術、文化人類の学説に取材しながら、生活に身近な素材を用いてスケール感の大きなインスタレーションを展開している。2017年から水野俊紀(Chim↑Pom)、浅田良幸(カルロス)と共にAlternative Space COREを立ち上げ、展示等の企画も行う。

興梠 優護 / Yugo Kohrogi

1982年熊本県生まれ、熊本と東京を拠点に制作活動をする。2009年東京藝術⼤学⼤学院美術研究科絵画専攻版画研究領域修了。人体のモチーフを軸に、光、色彩、視覚といった曖昧で移ろいゆくものに着目し、 絵画性の広がりを探る試みを展開している。現在は福岡県芸術家育成事業にて筑後地域に滞在しリサーチを行なっている。

後藤 靖香 / Yasuka Goto

1982年広島県生まれ、在住。2004年に京都精華大学芸術学部造形学科洋画コース卒業。幼少期より祖父や大叔父の戦争体験を聞いて育ったことから、戦争に組み込まれていった無名の若者たちの葛藤や内面の苦しみ、公の歴史では記されてこなかったエピソードを丹念に調査し、劇画調の画風で大画面のキャンバスに表すスタイルで高い評価を得ている。

小西 紀行 / Toshiyuki Konishi

1980年広島県生まれ、在住。2007年に武蔵野美術大学大学院修了。幼少期の自身の家族や知人のプライベートな記録写真を参照しながら、筆や布、手指などを用い、大胆で伸びやかなストロークで細部を削ぎ落とす特徴的な表現方法で人(ヒト)を描き続けている。ディストーションされた痕跡的なものとして描かれる人体は、身体と意識が変容し拡張していく瞬間を内包している。

小宮 万依 / Mai Komiya

1997年山口県生まれ、在住。2019年に九州産業大学造形短期大学部卒業。日常の生活の中から素材(ビーズ、鏡、塩化ビニール、プラスティックの日用品、吸い殻、パッケージ等) を探し出し、平面、立体作品を制作している。近年は、鏡やシルバーの塩ビフィルムなど反射する支持体に描かれたカラフルでユニークな平面作品も制作している。

柴田 七美 / Nami Shibata

1985年生まれ、福岡県出身、現在茨城県在住。2009年に尾道市立大学大学院美術研究科絵画研究分野中退。史実を題材とした舞台演劇や戯曲などのフィクションから起こしたイメージを描く。絵画における物質とイメージ、物語における現実と虚構の関係性のゆらぎを考察する。

田中 千智 / Chisato Tanaka

1980年兵庫県生まれ、福岡県在住。2005年多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻卒業。人物、動物をモチーフに、心の中の風景を幻想的に描き、いまや福岡拠点の作家の代表格のひとりである。福岡、東京で多数の個展を開催するほか、台湾、香港、シンガポール、英国、マレーシアなど海外での展覧会に出品。また、LONG MUSEUM(上海)、小学館の社屋に作品を収蔵 。書籍の装丁画や映画祭のポスター画も手掛ける。

津川 奈菜 / Nana Tsugawa

1991年広島県生まれ、在住。2015年に尾道市立大学大学院美術研究科絵画研究分野修了。紙に鉛筆で描くドローイングを起点として制作している。繰り返し描き/消すことで、何となく現れる形や風景を探し描く。出来上がった絵には郷愁を感じる時の執着を思わせるが、作品へ再構築されねじれることでポジティブなものへ転換されていく。

坪山 斉 / Hitoshi Tsuboyama

1981年宮城県生まれ、福岡県在住。2010年に東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了。キャンバスに絵具で描いた絵画をパソコン上で色光へと変換させたデータをもとに再構成し、再度絵画としてキャンバスに絵具で描くことで光を物質へと還元している。

手嶋 勇気 / Yuki Tejima

1989年北海道生まれ、広島県在住。2014年に広島市立大学大学院芸術学研究科造形芸術専攻絵画研究修了。写実絵画の技法研究と制作を経て、即興的でドローイングのような絵画を制作する。現在は土地の歴史的な文脈や文化的な文脈に自身が接続される試みとして「風景」を主な題材として描く。2020年に諫山元貴との共同アトリエ「スタジオピンクハウス」にビューイングルームを構え展示等の企画も行う。

七搦 綾乃 / Ayano Nanakarage

1987年鹿児島県生まれ、広島県在住。2011年に広島市立大学芸術学研究科彫刻専攻修了。山や枯れた植物、虹などの自然物や自然現象に強い関心を持ち、それらが持つはっきりと捉えられない「自然の時間」や、そこに潜む「生と死」のイメージを木彫とドローイングで表現している。2010年からアーティストランスペース「広島芸術センター」の運営に携わる。

平野 薫 / Kaoru Hirano

1975年長崎県生まれ、広島県在住。2003年広島市立大学大学院芸術学研究科博士後期課程を修了。古着の衣服や傘などを糸の一本一本にまで解き、結び直して再構成する繊細なインスタレーションを手がけている。

Photo by LWL-Industriemuseum / Martin Holtappels

ロバート・プラット / Robert Platt

1974年イギリス、ロンドン生まれ、福岡県在住。2001年にThe Royal College of Art(英国)絵画修士課程修了、2010年に京都市立芸術大学美術科絵画専攻油画博士課程修了。複雑な画像とカモフラージュ等を画法に用いて、絵画、インスタレーション、映像作品を発表する。イメージが溢れ、仮想性が高まる現代に、私たちが物理的な世界と自然との関わりをどのように認識し、相互作用するかを鑑賞者に促していく。

丸橋 光生 / Mitsuo Maruhashi

1982年京都府生まれ、広島県在住。2010年に広島市立大学大学院芸術学研究科彫刻専攻修了。習慣化(⾃動化)された「視覚」や「認識」に、ささやかな混乱を⽣じさせることでもたらされる逸脱の感覚に関心をもち、文字などをモチーフに様々なメディアで制作する。2010年からアーティストランスペース「広島芸術センター」の運営に携わる。

宮本 華子 / Hanako Miyamoto

1987年熊本県生まれ。2012年に女子美術大学大学院美術研究科修士課程美術専攻洋画研究領域修了。現在ベルリンと荒尾市の2拠点で活動。身近でありながら、価値観のことなる他者である〈家族〉との複雑で多重的な関係と作品を通して向き合い、パフォーマンスやビデオ、写真、刺繍を用いたインスタレーションなどの制作に取り組んでいる。2020年から熊本県荒尾市にてマイクロレジデンス「AIR motomoto」の運用を開始する。

米倉 大五郎 / Daigoro Yonekura

1975年広島県生まれ、在住。2006年に広島市立大学大学院芸術学研究科博士後期課程修了(芸術学博士号取得)、2009年から2010年8月 ベルリン芸術大学 イケムラ レイコ研究室(聴講生)。白と黒のアーティスト。白と黒との様々な組み合わせを通して、イメージが発生する瞬間や成り立ち、あるいは世界が開闢する瞬間や成り立ち、それらの絡繰りを追求している。

企画・コーディネート

齋藤一樹 / Kazuki Saito(株式会社sponge / 本企画立案者)
1982年生まれ、福岡県在住。2016年株式会社sponge設立。「アートの場づくり」を掲げ、商業施設・ホテル・企業と共に展覧会やアートプロジェクトを企画運営。
https://www.instagram.com/saito_sponge/

牧野身紀 / Miki Makino(EUREKA代表)
福岡県在住。福岡市中央区にあった画廊「ギャラリーおいし」のディレクターとして長年勤務。2018年10月に福岡市内にEUREKAをオープン。
https://eurekafukuoka.com/

今井みはる / Miharu Imai(アートギャラリーミヤウチ学芸員)
1982年広島県生まれ、在住。2007年広島市立大学大学院芸術学研究科現代表現領域修了後、広島アートプロジェクト等の展覧会コーディネートや地域連携に携わり2013年より現職。
https://www.instagram.com/artgallerymiyauchi/

諫山元貴 / Genki Isayama・手嶋勇気 / Yuki Tejima(スタジオピンクハウス)
アーティスト。広島市在住。2015年からアートギャラリーミヤウチ横の旧民家をシェアアトリエとして開設、2020年にビューイングルームをオープン。本展では出品も行う。
https://www.instagram.com/pinkhouse_hiroshima/

基本情報

会期

2022年12月17日(土)-2023年2月6日(月)

開館時間

10:00-17:00(最終入館は16:30)

休館日

火・水曜日、12月30日-1月4日

観覧料

一般600(480)円、学生400(320)円
※ ( )内は10名以上の団体料金。高校生以下又は18歳未満、各種障がい者手帳をお持ちの方と介助者1名は無料

主催

アートギャラリーミヤウチ
(公益財団法人みやうち芸術文化振興財団)

企画

株式会社sponge、EUREKA、アートギャラリーミヤウチ、スタジオピンクハウス

協力

ANOMALY、GALLERY SOAP、TEZUKAYAMA GALLERY、みぞえ画廊

後援

廿日市市教育委員会

ロゴデザイン

9P

開催レポート

メディア掲載

「県境超え広がるアート」『中国新聞』2023年1月7日、朝刊10面.
https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/254499

「注目される地方都市独自のアートシーン県境をまたいで展示・交流する」『TJ Hiroshima』株式会社アドプレックス、No.549、72p.

「広島と九州の作品で作る新アートシーン」『Wink広島』株式会社アスコン、No.450、101p.