梟コレクション 志條みよ子の眼と愛

2018年3月24日(土)-5月13日(日)

広島の画家を紹介、育てることに力を注いだ画廊

かつて広島市の繁華街の一角に「画廊 梟(ふくろう)」がありました。梟のオーナーで、文筆家の志條みよ子(1923-2013年)は、戦後間もなく文化人が集まる「酒場 梟」を開業。酒場のある通りを通称「なめくじ横丁」と名付け、1966年に念願の「画廊 梟」に改装しました。取り扱った作家は、広島の戦前・戦後美術史における重鎮作家の福井芳郎、灰谷正夫、船田玉樹から、当時若手だった殿敷侃、入野忠芳、田谷行平、久保俊寛といった画家です。1986年に横丁の立ち退きに併せて閉廊、その後は自宅を「梟の部屋」とし、晩年まで作品に囲まれて生活していました。2016年志條の愛蔵品(梟コレクション)約200点を、アートギャラリーミヤウチで収蔵する運びとなり、このたび初公開を機に特別企画展として、コレクションの主な作品と資料を展示します。

出品作家

青山二郎 安宅義則 阿部芳明 池田一憲 入野忠芳 大上典男 大木惇夫 大木 茂 太田好和 大歳克衛 香川龍介 喜種保男 木村武男 久保俊寛 斎藤与里 田谷行平 田渕真児 たべ・けんぞう 檀 琢哉 殿敷 侃 豊原正子 西谷勝輝 新田稲実 貫 志朗 野口 稔 野村守夫 灰谷正夫 浜崎左髪子 濱田宗完 浜田裕子 平沢喜之助 福井芳郎 船田玉樹 堀川 年 本田克己 増田 勉 まつだなる 丸木スマ 宮川啓五 森田恒友 藪野圭一 山口長男 和高節二  
※全てのコレクション作家ではありません

左)入野忠芳 《裂罅-地》油彩・キャンバス, 1977 右)福井芳郎《かに》油彩・キャンバス
左)灰谷正夫, 題名不明, 水彩・紙 右)船田玉樹《赤い樹》ガラス絵
左)浜崎左髪子《古い峠を行く中年の男》紙本彩色 右)殿敷侃, 題名不明,リトグラフ、水彩・紙, 1980’s
左)田谷行平《ピエロ》油彩・キャンバス, 1980’s 右)香川龍介, 題名不明, 油彩・キャンバス
左)藪野圭一《花束》油彩・キャンバス, 1970’s 右)西谷勝輝,《人形》水彩・紙
左)久保俊寛《ピエロ》水彩・紙, c. 1985 右)たべ・けんぞう《メモリー・オブ・ハー》シルクスクリーン, 1972
左)福井芳郎による梟画廊の概観 右)浜崎左髪子原案(漢字部分)による梟画廊のロゴ

志條みよ子 / SHIJO Miyoko

1923年6月広島生まれ、文筆家。1950年初頭から酒場梟を営み、地元文化人をはじめ、評論家の青山二郎、作家の井伏鱒二、写真家の土門拳らも広島に来ると訪れる店となった。1953年、中国新聞紙上で巻き起こった「第1次原爆文学論争」と呼ばれる議論の口火を切る。安易に原爆の惨状にふれる表現、そして広島では原爆を取り上げない小説や絵画は真の作品として認められないような風潮を批判した。広島市内にまだ美術館がなかった1966年画廊梟を開業し、優れた審美眼により広島の画家を紹介、育てることに力を注いだ。1986年の閉廊まで250件近い展覧会を開催。2013年3月没。

基本情報

会期

2018年3月24日(土)-5月13日(日)
*一部展示替えを行います
(1) 3月24日(土)-4月23日(月)  (2) 4月26日(木)-5月13日(日)

開館時間

11:00-18:00(最終入館は17:30)

会場

アートギャラリーミヤウチ 2・3F展示室

休館日

火・水曜日

観覧料

一般600円(500円)、学生400円 リーフレット付
(  )内は10名以上の団体料金。高校生以下または18歳未満・各種障害者手帳をお持ちの方は無料

主催

アートギャラリーミヤウチ
(公益財団法人みやうち芸術文化振興財団)

企画監修

出原均(兵庫県立美術館学芸員)

開催レポート