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はつかいち−惹かれる場所

2014年8月3日(日)-9月28日(日)

開館1周年記念展

広島県廿日市市(はつかいちし)は、世界遺産の厳島神社をはじめ重要な文化財を所有し、ホール、美術館などの文化施設、海や山などの自然文化にも恵まれ、広島県の主要文化都市として位置づけられています。このたび、「はつかいち−惹かれる場所」と題し、廿日市市の出身、在住の美術作家、工芸士による展覧会を開催します。廿日市という土地が育んできた芸術文化を考察していくと同時に、特定の場所から生まれる芸術文化の広がりを発信することを目指します。

出品作品は、広島の洋画家の先駆けとして活躍した廿日市市出身の故・小林千古の作品を筆頭に、廿日市に縁ある現役画家の宇佐川良、佐伯勲、丹田和宏、山本美次、金属造形作家の桑田覚による作品を公開することで廿日市がもたらした芸術文化の発展を追います。そして、故・大谷一翠、広川一仙の宮島彫り、川原圭斎、川原圭二、川原厳栄堂(陶斎)、山根興哉(二代・三代)の宮島焼き、小林松斎の宮島ろくろによる伝統工芸品と、田原一久が撮る厳島を紹介することで観光地に息づく土地の魅力に迫ります。また、出品作家の作品の中から数点を選び、そこから見えてくる新たな廿日市の物語も構成していきます。廿日市がつくり出す芸術文化の豊かさや多様な文化が集積し人々を魅了する廿日市の磁力を伝える機会となれば幸いです。

出品作家

宇佐川良、大谷一翠、川原圭斎、川原圭二、川原厳栄堂(陶斎)、桑田覚、小林松斎、小林千古、佐伯勲、田原一久、丹田和宏、広川一仙、山根興哉(二代・三代)、山本美次

宇佐川良“ふる里の池” (2008年) 
大谷一翠(題名不詳) 宮島細工協同組合蔵
川原圭斎“晩秋譜” (2001年)
川原圭二 宮島「弥山神鴉」”(2010年)
川原厳栄堂(陶斎) “水指”
桑田覚“滝の本” (2008年) 
小林松斎“欅拭漆丸盆”(2014年)
小林千古“厳島風景” (1903-04年)はつかいち美術ギャラリー蔵
小林千古 “夢の間”(1899年) はつかいち美術ギャラリー蔵
佐伯勲“鎮魂−21” (2012年)
田原一久“朱の世界より「回廊−1」”(1980年頃) 
丹田和宏“二つの水差し” (2011年)
広川一仙“欲垢煩悩” (2007年)
山根興哉(二代)“金結晶菱形壺” 
山根興哉(三代)“宮島御砂 藍白器”
山本美次 “縁” (1975年) 個人蔵

宇佐川良 / USAGAWA Ryo

1931年廿日市市生まれ。1964年紀元会展新人賞を受賞。1974年昭樹会創立代表になる。1978年大調和展出品会友になり、1995年同展で武者小路賞を受賞。1996年大調和会会員に推挙され、1997年大調和賞を受賞、紺綬褒章も多数受章している。2004年八千代の丘美術館にて個展、2008年には慈彩会展50周年記念展に於いて25回以上の出品に対し表彰される(東京三越本展)。全国の主要都市デパートでは84回の個展を開催。現在、日本美術家連盟会員、大調和会運営委員・広島支部代表、慈彩会会員、アトリエ良代表。

大谷一翠 / OTANI Issui

宮島彫りの第一人者。彫刻師・熊谷一光に師事。一点透視図法など、絵画的要素を取り入れた彫り方が特徴である。

川原圭斎 / KAWAHARA Keisai

1940年宮島口生まれ。1983年から陶芸家活動を始める。1996年二代圭斎を襲名。主な陶歴に、広島県美術展無鑑査作家審査員、広島県勤労者美術展「労働大臣賞」2回受賞、日本現代工芸美術展入選、日本新工芸展入選、光風会評議員審査員、1999年第85回記念光風会展「杉浦非水記念賞」受賞、日展入選5回、広島県美術展実行委員

川原圭二 / KAWAHARA Keiji

1969年宮島口生まれ。山口芸術短期大学卒業。京都市立工業試験場修了。京都府立陶工高等技術専門校卒業。京都山科「森里陶楽陶苑」にて修業。日本現代工芸美術展「現代工芸賞」受賞、現代工芸美術中国会展「広島県教育委員会賞」「広島市長賞」受賞、社団法人現代工芸美術家協会本会員、日展入選、広島県工芸美術作家協会会員。

川原厳栄堂(陶斎) / KAWAHARA-GENEIDO (Tosai)

陶斎窯は初代陶斎川原富次郎が京都で修業明治四十二年現在地に登窯を築窯し、其の後一度も絶える事なく二代・三代によって現在迄焼きつづけられている。当時より1945年頃迄当地の粘土を使用していたが、現在は東広島市西条町三永田口の粘土を使って昔からの宮島焼の素朴さをそのままに焼きつづけている。1991年広島県伝統的工芸品に指定されたのも、その伝統を代表するものである。

桑田覚 / KUWATA Satoru

1949年広島生まれ。1972年武蔵野美術大学卒業。1977年渡欧後、1978〜79年斎藤昭二郎氏に鉄工を師事、1980〜81年に渡米、Albert Peley氏に鉄工を師事。帰国後、広島にて建築金物制作を始める。主な個展に1999年「鉄雛」(art space HAP、広島)」、2011年「花と人」(広島そごう)。グループ展に、2001年「第19回UBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)」(山口)、2008年「金属で造る,桑田覚/村中保彦」展(はつかいち美術ギャラリー、広島)。主な受賞歴に、1998年「昭和シェル石油現代美術展」、2001年「第19回UBEビエンナーレ」入選。現在、廿日市にアトリエを構える。

小林松斎 / KOBAYASHI Shosai

1963年宮島町に生まれる。1992年広島県無形文化財保持者である小林健一郎(父)に師事。2003年日本伝統工芸会正会員に認定。2014年三代小林松斎襲名。2000年第9回伝統工芸木竹展初入選(以後6回入選)、第47回日本伝統工芸展初入選(以後7回入選)、2001年第44回日本伝統工芸中国支部展初入選(以後10回入選)。2007年第22回「県民文化奨励賞」受賞、2009年平成20年度「広島県教育奨励賞」受賞。

小林千古 / KOBAYASHI Senko

1870年現在の廿日市市地御前生まれ。広島の洋画家のさきがけとして活躍した。明治21年(1888)にアメリカに渡って働きながら語学を学び、カリフォルニア州立大学付属美術学校で美術の才能を開花させた。明治31年(1898)に帰国するが、美術研究のためにハワイやニューヨークを経由してパリに遊学し黒田清輝、岡田三郎助、中村不折等と親交している。明治36年(1903)帰国後日本洋画壇に登場し、明治40年(1907)に東京府勧業博覧会に「誘惑」を出品し注目され期待されたが明治44年(1911)41歳の若さで病没した。(「幻の洋画家小林千古」より引用)

佐伯勲 / SAEKI Isao

1943年愛媛生まれ、廿日市市在住。1963年東京阿佐ヶ谷美術学校デザイン科卒業。以後東京にて広告代理店、デザイン事務所勤務。船木棗月に師事し、1996年より毎年12回東洋画道展に出品。2006年より3年連続全国水墨画公募展に入選。近年、「鎮魂・平和」を未来に継承するシリーズを人間の細胞をモチーフに水墨画で描いている。主な個展に、2013年「鎮魂 抽象水墨画展」(旧日本銀行広島支店)、2012年「佐伯勲 水墨画展」(ギャラリーてんぐスクエア、広島)。アート de 水墨の主宰。

田原一久 / TAHARA Kazuhisa

1947年廿日市市生まれ。1978年出版社勤務を経てかずフォトサービス・田原写真を設立、現在に至る。中国地方の山間地を中心に、地元廿日市の風景も撮影する。富士フォトサロン(東京・大阪・福岡)ペンタックフォーラム(東京)はじめ、広島県立美術館・島根県立美術館ギャラリーなど多数個展を開催する。現在、日本写真家協会会員(JPS)、光と風を撮る会の主宰。写真集に「中国山地の四季〜中国地方5県〜」、「四季の彩り〜中国山地(広島県)の自然〜」がある。


丹田和宏 / TANDA Kazuhiro

1956年廿日市市生まれ。1979年阿佐ヶ谷美術専門学校絵画科卒業。主な個展に、1993年東京梅田画廊、1998年はつかいち美術ギャラリー、2007年八千代の丘美術館センターギャラリー、2010年ギャラリーG、2012年ネッツギャラリーBOX。公募団体には属さず、個展、グループ展などで発表を続ける。膠引きの麻布に水溶性の白亜で地塗し油彩で描く。樹脂主体の画溶液を使い艶を控え、比較的薄い層を塗り重ねて描いている。幾何学的な構成を基本に形態と色彩のリズムを生み出すよう心掛けている。

広川一仙 / HIROKAWA Issen

1943年宮島町生まれ。宮島彫りの伝統工芸士。1972年故・大谷一翠に師事する傍ら町内の彫刻師の工房を訪ね技術を習得。1973年第1回宮島特産品振興会金賞受賞、以降出品の度入賞。1987年広島文化育英財団文化奨励賞受賞。1994年伝統工芸士となる。1999年中国通商産業局功労賞受賞。2005年経済産業大臣表彰。現在、唯一の後継者の育成に取り組んでいる。現在、宮島細工協同組合理事長。

山根興哉(二代・三代) / YAMANE Kosai

〔三代〕1963年宮島口に生まれる。1986年大阪芸術大学工芸学科陶芸専攻卒業。1987年京都市工業試験場陶磁器養成科研修生修了。1988年京都府立陶工職業訓練校卒業(現:京都府立陶工高等技術専門学校)。2000年日本工芸会正会員認定。2014年三代山根興哉襲名。主な展覧会、受賞歴に、2001年日本伝統工芸展「宮内庁買上げ」、2006年朝日現代クラフト展招待出品、2009年日本陶芸展1部賞候補、2011年広島県教育奨励賞受賞。2014年日本伝統工芸展中国支部展中国新聞社賞」受賞。

山本美次 / YAMAMOTO Mitsugi

1949年広島廿日市市生まれ。1971年武蔵野美術大学油彩科卒業。1972年からルーブル美術館、プラド美術館に於いて81年までテンペラ、油彩の素成、技法を模学研修、1974年パリ国立高等美術学校古典技法科、銅版画科中退。2001年文化庁派遣芸術家特別在外研修(パリ)。技法を伝統や様式に敬意を持ちつつ現代的要素、人間の変わらない思いを模索し、表現や試みを行っている。毎年東京広島を主に個展グループ展で発表。

基本情報

会期

2014年8月3日(日)-9月28日(日)

開館時間

11:00-18:00(入館は17:30まで)

会場

アートギャラリーミヤウチ 2・3F展示室

休館日

火・水曜日、8/14-16(但し9/23は開館)

観覧料

500円(300円)
( )内は学生、10名以上の団体料金。高校生以下または18歳未満・各種障害者手帳をお持ちの方は無料

主催

公益財団法人みやうち芸術文化振興財団

助成

公益財団法人エネルギア文化・スポーツ財団

後援

廿日市市教育委員会、廿日市市文化協会、廿日市市美術協会、FMはつかいち76.1MHz、一般社団法人はつかいち観光協会、一般社団法人宮島観光協会

協力

はつかいち美術ギャラリー、宮島細工協同組合