前田耕平|コスモレジデンス

2025年11月15日(土)- 2026年1月25日(日)

広島で制作する新作展示と、過去作の再構成

前田耕平(1991–)は、自然と人との関係や距離をテーマに、国内外でフィールドワークを重ねながら映像、パフォーマンス、インスタレーションを発表してきました。 川や海、山などの自然、あるいは他者との境界に自らの身体を置き、そこで得た体験の共有方法に関心を寄せています。

 2019年頃からは、東京や青森、タイ、オーストラリア、ギリシャなど、移動と滞在を伴う制作スタイルが増えていきます。その中で、各地のサイトに依拠した作品をひとつの場所で再展示をした場合、時間と空間を超えた関係性は生まれるのか——本展はその問いから出発しました。タイトルの「コスモレジデンス」は、前田が実際に居住した建物名と、体系的な世界を想起させる「コスモス」を掛け合わせた造語です。

 展示では、建物全体を一つのレジデンス(居住空間)と見立て、過去作を再構成するとともに、広島の太田川の支流を舞台に、広島にゆかりある人々と前田自身がパフォーマーとして共同制作した新作《かりのたより》を発表します。多様な流れの中を行き来する前田の表現がひとつの空間に合流するとき、新たな関係性をもつ物語が立ち上がるでしょう。美術を通して特定の場所に関わること、表現の可能性について、改めて思案する場となることを願っています。

《かりのたより》について

広島市立大学の主催、リフレクティング・ヒロシマの企画・運営のもと、令和7年度大学における芸術家等育成事業「ひろしまアーツカレント 里山と川辺の複数種共有空間を開いて、ハイブリッドな学びの場を創発する」の一環で実施した「雁の便り」プロジェクトによって制作。
前田耕平「雁の便り」プロジェクト アーカイブ展:11/10-11/20、タメンタイギャラリー鶴見町ラボ


出品作品(一部)

《Living》2021年、京都-大阪(撮影:Yoshiro Masuda)
《Breathing》2021年、和歌山(撮影:Shimoda Manabu)
《Breathing》2021年、和歌山(撮影:Shimoda Manabu)
《東京遡上》2024年、東京(撮影:髙橋健治、提供:Tokyo Arts and Space )
《イトム》2021年
《Stretching》2022年、青森
《Foot Chart》2022年、青森(撮影:高野ユリカ、提供:青森公立大学国際芸術センター青森)
《Good River_Sungai Bagus》2023年、インドネシア(撮影:那須竜太、提供:BUG)
参考画像:《かりのたより》2025年、パフォーマンス風景、広島(撮影:Haruhiro Ishitani)
※クレジットの地名は制作地

前田耕平 / Kohei Maeda

1991年、和歌山県生まれ。現在、兵庫県在住。2017年京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻構想設計修了。2022年から京都・高瀬川の観察を行う「高瀬川モニタリング部」主宰。ルーツとなる紀伊半島での風土や体験、同郷の博物学者である南方熊楠の哲学を根幹に「自然と人の関係や距離」をテーマに活動。国内外の自然地形や生態系、文化や信仰に目を向け、フィールドワークから、写真、映像、パフォーマンス、インスタレーションなどの作品を制作。境界を問い、不可視に触れ、時に祭事のようにその過程と行為を展開する。

近年は「高瀬川モニタリング部」、「動物園の未来ラボ」プロジェクト、舞台の出演・演出など多様な活動を行う。主な展覧会に、個展「点る山、麓の座」(国際芸術センター青森)、「あわいの島」(アドベンチャーワールド、和歌山)、「タイランドビエンナーレ 2023」(チェンライ)、「紀南アートウィーク2021」(南方熊楠顕彰館、和歌山)、など。

Photo:Toma Yamasaki

関連イベント


オープニング・トーク:「雁の便り」プロジェクトについて *
日時:11月15日(土)20:00-
出演:前田耕平、リフレクティング・ヒロシマ
※当日は閉館後も19:30ごろまで展示観覧可能、お飲み物等ご用意いたします

アーティスト・トーク *
日時:12月10日(水)19:30-
出演:前田耕平、慶野結香(キュレーター)

アーティスト「不在」トーク *
日時:1月11日(日)14:30-
出演:正木裕介(Gallery PARC)、今井みはる(本展担当学芸員)


一人の俳優のための五人の演出家による上演Ⅱ「Before boiling」(再演)
日時:12月18日(木)19:30-, 12月19日(金)17:00-
出演:桑折現
脚本・演出:前田耕平
料金:一般3,000円 ※展覧会観覧料は要別途
※各上演後にアフタートークあり
▶︎ 詳細・ご予約はこちら

ラジオ「田園Live」 *
前田耕平と美術家の米村優人による24時間ライブ配信
日時:調整中

クロージング・イベント「とんど焼きトーク」(仮) *
日時:1月25日(日)19:30-
前田耕平と担当学芸員によるトークあり

※「*」は参加費無料、但しラジオ以外は要展覧会チケット
※ その他、会期中に前田による身体パフォーマンス「ミヤウチノボル」等を実施
各イベントの詳細は随時公開いたしますので、当館ウェブサイトやSNSをご確認ください。

基本情報

会期

2025年11月15日(土)- 2026年1月25日(日)

開館時間

10:00-17:00(最終入館は16:30まで)

休館日

火・水曜日(但し12月10日は開館)、年末年始(12月30日-1月3日)

観覧料
  • 一般:500(400)円
  • 学生:300(240)円

※( )内は10名以上の団体料金。高校生以下又は18歳未満、各種障がい者手帳をお持ちの方と介助者1名は無料

主催

公益財団法人みやうち芸術文化振興財団

協力

リフレクティング・ヒロシマ、高瀬川モニタリング部

後援

広島県教育委員会、廿日市市教育委員会、FMはつかいち76.1MHz

担当学芸員

今井みはる

デザイン

山本洋明(デザイナー)、梅田郁美(デザインリサーチャー)

スタンプラリー

本展は、はつかいちアートレゾナンスの企画「はつかいちアートスタンプラリー」第2弾の対象展示です

  • 2025年9月1日〜2026年5月31日

詳細はこちら:https://www.umam.jp/hatsukaichiartresonance/

賛助会員・ご寄附のお願い

今後も継続してコレクションを保存、調査、発信していくために、皆様からのご支援も不可欠です。当館の活動にご賛同いただける場合は、賛助会員またはご寄附にて応援いただけますと幸いです。
クレジット決済にも対応しております。

詳細はこちら:賛助会員・寄付金のご案内