アーティストトーク:坂本淳「作品と展示について」

2021年1月23日(土)21:00-23:00

記憶をテーマに制作する写真家・坂本淳

坂本さんの制作は「忘れることに抵抗する」という写真家にとっての素朴な動機から始まり、動機はそのまま全ての作品を貫くコンセプトとなっています。ここ数年は、忘れることと思い出すことの間の揺らぎを撮影するため、イメージの消滅と発生の狭間を作り出してそこにカメラを向けています。
今回のトークでは、作品の主なモチーフである「写真」と「広島」を軸にお話をしていただきます。 この話の場自体が「忘れることに抵抗するための場所」となるかもしれません。皆さんの入室をお待ちしております。
尚、坂本さんは現在当館でも作品を展示中です。こちらも是非ご高覧くださいませ(2/7まで)。
展示の詳細

参考画像

坂本淳《Pallet》2020・インクジェットプリント
坂本淳《Picture#1》2020・インクジェットプリント

坂本淳 / Sakamoto Jun

写真家、広島市在住。1979年東広島市生まれ。2003年須田一政氏から写真を学び大阪芸術大学卒業。2012年映像制作会社勤務を経てフリーランスに。2014年佐藤辰美氏の助言により作家活動を8年ぶりに再開。以降、記憶を主題とする作品を制作中。主な個展に「Continue」Hirose Collection, 広島, 2019、「Variations」Gallery G, 広島, 2019、「AUG.6,2016(Chewing Gum and Chocolate)」Gallery Node, 広島, 2016、「広島へ行く」Gallery G, 広島, 2014。

基本情報

日時

(1) 2021年1月23日(土)21:00-23:00
入室・受付 20:50〜 開始 21:00〜(休憩あり)
※途中入退場可。質疑応答などで23:30までの開催になる場合がございます。
※チケットをご購入いただいた方は当日参加が難しくなった場合でも後日録画を視聴可能です。
モデレーター:今井みはる(当館学芸員)
※Zoomを使用します
募集を締め切りました

対象

どなたでも

予約締切

1月22日(金)17:00まで(クレジットの場合は当日17:00まで)

参加費

500円 / 1回線
ご家族など同じ端末から参加希望の場合は1回線分です。

お申込み・お支払い方法

下記のいずれかにてお申込みください。


(1)ギャラリーHPからのお申し込み
お支払い方法:クレジットカード

上記の「チケットを申し込む」ボタンからEメールアドレス、電話番号、氏名、カードの番号、有効期限、セキュリティコード(カード裏面署名欄の番号下3桁)、居住地の郵便番号をご入力いただき、「今すぐ支払う」ボタンをクリック。自動返信メールが届きますとお申し込み完了です。
JCBが利用できませんので利用されたい方は(2)からお願いいたします。Internet Explorerではアクセスできない場合がございます。Chromeを推奨いたします。メールが届かない場合は、お手数ですがギャラリーまでお電話くださいませ(迷惑メールフォルダも併せてご確認ください)。


(2) 電話・FAX・Eメールからのお申し込み
お支払い方法:クレジットカード又は、銀行振込

件名を「アーティストトーク」とし、ご希望の日時、お名前、人数、連絡の取りやすい電話番号、Eメールアドレス、希望のお支払い方法を下記のいずれか宛にお知らせくだください。折り返しお客様専用のクレジットカード決済フォーム又は振込先情報をお送りいたします。
電話:0829-30-8511(火・水曜を除く9:30-17:00まで)
FAX:0829-39-8931
Eメール: agm@miyauchiaf.or.jp
(振込手数料はお客様にご負担いただきます)。


(3) チケット販売サイトからのお申し込み
お支払い方法:クレジットカード、コンビニ/ ATM (ペイジー)、Paypal

Peatixから申し込む
上記の「Peatixから申し込む」(外部サイト)にアクセスしご購入をお願いいたします。ご購入と同時にお申し込みとなります。Peatixを初めてご利用になる場合は新規登録が必要です。


(4) ギャラリーでのお申込み
お支払い方法:現金、PayPay

前日までにギャラリーにお越しいただける方は直接お申込み、お支払いが可能です。

参加方法・事前準備
  • ご予約、お支払いが完了された方には、開催日2日前頃に当日アクセスしていただく専用のURLをお送りいたします。
  • 事前にzoomアプリをインストールし、起動などのご確認をお願いいたします。 zoomを使用いただくためにはマイクとWebカメラが搭載されたパソコン、タブレットが必要です。
    ・パソコンの方は「https://zoom.us/download」にアクセスし、一番上の「ダウンロード」からインストールしてください。頻繁に使われる場合はアカウント作成をすると便利です。
    ・タブレットの方はアプリストアからインストールしてください。
  • 当日は受付時間になりましたらURLにアクセス可能です。開始時間5分前までにはアクセスをお願いします。
  • 当日のアーカイブ動画はチケットをご購入いただいた方全員に公開いたします。当日参加が難しい方は後日配信された動画をご覧ください。(動画は1週間限定公開)
  • その他詳細はご予約完了後にメールなどでお伝えいたします。
注意事項
  • インターネット回線を利用いたしますので、できる限りご利用回線の負荷を少なくした状態・環境でのご視聴をお願いいたします。
  • 当日、事業の報告書作成や広報のために配信録画と参加風景を撮影させていただきます。顔出しが困る方は事前にカメラの非表示を設定してください。
  • 参加者による配信の録画をはじめ、動画サイトなどへの無断転載・共有、参加URLの譲渡を禁止いたします。
主催

アートギャラリーミヤウチ

支援

広島市 文化芸術の灯を消さないプロジェクト

本展は、「広島市文化芸術振興臨時支援事業~文化芸術の灯を消さないプロジェクト~」の一環として広島市を拠点とするアーティストの創作活動を紹介してく取り組みの一つして開催しています。新型コロナウイルスの影響で、決まった日時や場所での作品鑑賞は当然にあるものではなく不安定なものであることを目の当たりにしました。そのような状況下でもアーティストの活動は止むわけではなく、展覧会や演奏といった発表の形だけに留まらず制作、研究・実験といった創作活動は個々の時間で続いています。このたびのプログラムは当館をはじめ、広島市内各所、オンラインなど場所や活動期間も各アーティストで異なります。それぞれのアクティビティ(活動や遊び)を通して、作品の孤立性と関係性、展覧会やスペース、そして鑑賞のあり方を問いながらそれらの見直しを試みていきます。

ご寄付のお願い

当館の今後の活動のためにご寄付を随時受け付けております。ご賛同いただける方はご協力いただけますと幸いです。金額は自由入力です。

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開催レポート

「私のテーマは記憶、モチーフは写真と広島です。
制作は「忘れることに抵抗する」という写真家にとって素朴な動機から始まり、
動機はそのまま全ての作品を貫くコンセプトとなっています。」
この紹介文を冒頭に据えて、活動する坂本淳さん。アートギャラリーミヤウチでは何度かのアップデートをしながら作品を展示しています(2020年11月15日〜2021年2月14日まで)。今回のトークでは写真と広島を基軸にこれまでの活動を振り返ります。

学生時代はいわゆるスナップを撮っていた坂本さん。当時は現在のスタイルとは違い、感覚的に撮影していました。撮影場所も、街中から郊外、郊外から神社、実家の中と変えていっていたそうです。ところが2005年に初個展をした後に撮りたいものが見つからず、そこから8年。写真そのものにアプローチできずにいたある時、急に広島で個展をすることに。2013年、準備期間は半年。そこで改めて自分が大事だと思っているものを見直すことにしたと言います。

1.広島へ行く
無名の人々が撮影・愛好する中庸な写真であり、私たち自身が日常的に撮影している写真としてのヴァナキュラー写真。中でも“家族写真”。坂本さんはさらにその“周辺”の部分に着目しました。それは不鮮明な部分でも特定の記憶が「保存されている」。
シリーズ「広島へ行く」は、“広島”と言われる場所を写し込むことを前提にした、ホテルに宿泊している様子を写した家族写真。ホテルの室内は現代生活様式を無表情に一般化しているそう。
個展では展示方法も壁掛けではなく、写真の入った保存用の箱を床置きして見せる形。
坂本さんの実家に積み重なる写真たちの一番思い出せないものは下の方にあることから着想し、「物理的に下にあるものは忘却性が高い」のを利用しようと考えての床置きだそう。
坂本さんにとって写真は空間の圧縮。現代と過去の広島をつなげるイメージと言います。

2.オープンエンド
2015年の展示ではその忘却性をさらに高めて、撮った写真を黒で塗りつぶしました。何があるのか覗き込むようにする、というのは思い出すために必要な力を発生させると言います。その契機となるのは像が消えたダゲレオタイプ。写真は意外と脆く、劣化もしますが、坂本さんはそれをマイナスに捉えておらず、映像があることが人のイメージを邪魔している気もしている。見た人が何か映り込んでいるものを想像し、錯覚したりしている姿が面白く、それが写真そのものであると思ったそうです。

3.2016年8月6日
翌年。河原温のスタジオの様子が収められた写真、そのうちの1枚に坂本さんの生まれ年が描かれたキャンバスが写っているものをモチーフに、圧縮させた空間を膨らませることを試みたインスタレーションを制作しました。
この年は5月にオバマ来広。翌日の28日から広島市現代美術館で東松照明の長崎をテーマにした展示、それが終わった7月にギャラリーGで藤岡亜弥さんの広島を撮った写真展が開催され、その一連の流れをリレーのように感じたそうです。そこに自分も何か続くアクションをしたい、と1日だけの展覧会を開催。それが上記のインスタレーションで、会場では河原温や東松照明が占領軍から配られて食べていたイメージでガムやチョコレートを配り、記号だけになる8/6を回避し、身体的な体験をしてもらいました。
今回ミヤウチに追加展示されていた写真は、過去の空間を解凍させた作品(2016年8月6日を写した風景)を再び圧縮させるべく、昼と夜の写真を撮り、作品にしたものでした。

4.山路商と船田玉樹
広島は誰の都市なのか?特異な文脈と歴史がある広島を考えたときに、坂本さんは「広島は山路商の街である」との考えに至り、オマージュした作品を制作。
SNSにその作品をあげたのを機に船田奇岑さん所蔵の山路作品と一緒に展示をさせてもらえることに。船田奇岑さんの父である船田玉樹は山路と行動を共にしていたことがある弟的存在の日本画家。当時の広島の美術シーンに親近感が湧いた坂本さんは、所在不明の船田玉樹作品の湖を描いた絵の図版を発見、動かしたいという気持ちになり、作品の画像を使い、48枚組の作品を作りました。それを動画にして現代に繋がる川として再生させ、その連続の作品制作から「バリエーションズ」になるためのラインが作り上がります。

5.バリエーションズ
坂本さんは戦前の広島で交流し、活動していた作家たち5名を選びました。
彼らの画像をオリジナル技法で転写して複写して変容させる。その作業を「忘却性を高めて記録している。忘却と想起の間。」と坂本さんは言います。
2019年のギャラリーGの展示では1階を水辺の風景、2階を高台の島に見立てて構成した。この風景の先に現在の広島も接続されている。山路商へのオマージュとしてこの技法が強固なものになった。また、ミヤウチではこのシリーズも再構成して展示していますが、これは一つのテーブルにコンパクトに構造化した形だと言います。

「歴史的な文脈を写真に撮っている。アートならそれができる。」と言っていたのが印象的でした。

終わってからも話し足りなさそうな坂本さんでしたが、たくさん注釈もつけてくださっていたので、初めて坂本さんの話を聞かれる方でも写真や広島の戦前の画壇の様子なども垣間見ることができたのではないでしょうか。こちらのレポートではかなりダイジェストになってしまっているので、興味のある方はぜひ坂本さんのSNSなどでは作品が生まれていく様子などがわかると思いますのでアクセスしてみてください。

2021年3月25日
平石もも / AGmアンバサダー・元横川創苑マネージャー